解の公式は、手順を決めておけば中学生でも迷わず解けます。この記事では、a,b,cのメモから約分までの5ステップを、色分けした途中式で1つずつ見せます。例題は5つ、答えが1つや解なしになる場合、因数分解との使い分け、練習問題8問、公式が導かれるわけまでまとめました。ページの下には、印刷して配れる解説プリント(5面・練習6問つき)もあります。
解の公式は、手順さえ決まっていればだれでも解けます。むずかしいのは公式ではなく、「−の計算」と「約分」。そこだけ気をつければ大丈夫です。
目次
解の公式とは?使える条件
二次方程式ax²+bx+c=0の解を、係数のa,b,cだけで求める公式です。因数分解でうまく解けない式でも、かならず解けるのが強みです。
ax²+bx+c=0のとき
x=−b±√b²−4ac2a
a=x²の前の数b=xの前の数c=数だけの項
使う前のチェック
①式が「=0」の形になっている(右辺に何か残っていたら移項)
②aは0ではない(0だとx²が消えて、二次方程式ではなくなります)
解き方の型は5ステップ
①=0の形にする(右辺に何か残っていたら移項)
②a,b,cをメモする(符号もいっしょに)
③公式に代入する(負の数はかっこ)
④√の中を計算して、√を簡単にする
⑤約分して、答えを書く
例題でやってみよう
例題1|まず=0の形にしよう(2x²=5x+1)
STEP1
まず=0の形にする
2x²=5x+1
→2x²−5x−1=0
右辺を左にうつす(移項)。うつすと符号が逆になります。
STEP2
a,b,cをメモする
a=2,b=−5,c=−1
符号もいっしょにメモ。−がつくものは−ごと書きます。
STEP3
公式に代入する
x=−(−5)±√(−5)²−4×2×(−1)2×2
文字をぜんぶ数字にかえるだけ。負の数はかならずかっこ。
STEP4
√の中を先に計算する
(−5)²−4×2×(−1)=25+8=33
(−5)²は25。−4×2×(−1)の符号にちゅうい。
STEP5
分子をまとめる
x=5±√334
−(−5)は+5になります。
答え:x=5±√334
例題2|−がたくさん出る形(2x²−3x−4=0)
STEP1
a,b,cをメモする
a=2,b=−3,c=−4
符号もいっしょにメモ。−がつくものは−ごと書きます。
STEP2
公式に代入する
x=−(−3)±√(−3)²−4×2×(−4)2×2
文字をぜんぶ数字にかえるだけ。負の数はかならずかっこ。
STEP3
√の中を先に計算する
(−3)²−4×2×(−4)=9+32=41
(−3)²は9。−4×2×(−4)の符号にちゅうい。
STEP4
分子をまとめる
x=3±√414
−(−3)は+3になります。
答え:x=3±√414
例題3|約分が出る形(3x²+2x−2=0)
STEP1
a,b,cをメモする
a=3,b=2,c=−2
符号もいっしょにメモ。−がつくものは−ごと書きます。
STEP2
公式に代入する
x=−2±√2²−4×3×(−2)2×3
文字をぜんぶ数字にかえるだけ。負の数はかならずかっこ。
STEP3
√の中を先に計算する
2²−4×3×(−2)=4+24=28
2²は4。−4×3×(−2)の符号にちゅうい。
STEP4
√を簡単にする
√28=√4×7=2√7
28=4×7と分けると、4は2×2なので、√の外に2が出せます。
STEP6
約分する
x=−1±√73
分子のぜんぶの数(2と2)と分母6を、2でいっしょに割ります。一部だけ約分するのはNG。
答え:x=−1±√73
例題4|√がはずれる形(2x²+3x−2=0)
STEP1
a,b,cをメモする
a=2,b=3,c=−2
符号もいっしょにメモ。−がつくものは−ごと書きます。
STEP2
公式に代入する
x=−3±√3²−4×2×(−2)2×2
文字をぜんぶ数字にかえるだけ。負の数はかならずかっこ。
STEP3
√の中を先に計算する
3²−4×2×(−2)=9+16=25
3²は9。−4×2×(−2)の符号にちゅうい。
STEP4
√がはずれる!
x=−3±54
25は5×5なので、√25=5。
STEP5
+と−で2つの答えを出す
+のとき:x=24=12
−のとき:x=−84=−2
±は「+の答え」と「−の答え」の2つ。
答え:x=12,x=−2
例題5|x²の前が−のとき(−x²+2x+5=0)
STEP1
まず=0の形にする
−x²+2x+5=0
→両辺に−1をかけて
x²−2x−5=0
aが−だと符号ミスが増えます。両辺に−1をかけて、aを正の数にしてから始めると安全です。
STEP2
a,b,cをメモする
a=1,b=−2,c=−5
符号もいっしょにメモ。−がつくものは−ごと書きます。
STEP3
公式に代入する
x=−(−2)±√(−2)²−4×1×(−5)2×1
文字をぜんぶ数字にかえるだけ。負の数はかならずかっこ。
STEP4
√の中を先に計算する
(−2)²−4×1×(−5)=4+20=24
(−2)²は4。−4×1×(−5)の符号にちゅうい。
STEP5
√を簡単にする
√24=√4×6=2√6
24=4×6と分けると、4は2×2なので、√の外に2が出せます。
STEP6
分子をまとめる
x=2±2√62
−(−2)は+2になります。
STEP7
約分する
x=1±√6
分子のぜんぶの数(2と2)と分母2を、2でいっしょに割ります。一部だけ約分するのはNG。
答え:x=1±√6
答えが1つ・答えなしになるとき
√の中の数によって、答えの数が変わります。
プラス√の中が正の数→答えは2つ(±で2つに分かれる)
ゼロ√の中が0→答えは1つ(±0はどちらも同じ)
マイナス√の中が負の数→解なし(2乗してマイナスになる数はない)
重解の例|x²−6x+9=0
STEP1
a,b,cをメモする
a=1,b=−6,c=9
符号もいっしょにメモ。−がつくものは−ごと書きます。
STEP2
公式に代入する
x=−(−6)±√(−6)²−4×1×92×1
文字をぜんぶ数字にかえるだけ。負の数はかならずかっこ。
STEP3
√の中を先に計算する
(−6)²−4×1×9=36−36=0
(−6)²は36。−4×1×(9)の符号にちゅうい。
STEP4
√0=0なので答えは1つ
x=6±02=62=3
±0は、+0も−0もおなじ数。だから答えは1つだけです。
答え:x=3
解なしの例|x²+2x+3=0
STEP1
a,b,cをメモする
a=1,b=2,c=3
符号もいっしょにメモ。−がつくものは−ごと書きます。
STEP2
公式に代入する
x=−2±√2²−4×1×32×1
文字をぜんぶ数字にかえるだけ。負の数はかならずかっこ。
STEP3
√の中を先に計算する
2²−4×1×3=4−12=−8
2²は4。−4×1×(3)の符号にちゅうい。
STEP4
√の中がマイナス
√−8は、2乗してマイナスになる数がないので、つくれません
2乗すると、かならず0以上になります。だから実数の解はありません。
答え:解なし
因数分解と解の公式、どっちを使う?
因数分解できるなら、そのほうが速いです。「かけてc、たしてbになる2つの数」が見つかるかどうかで決めましょう。
見つかる→因数分解(x²−5x+6=0なら、かけて6・たして−5の−2と−3)
見つからない→解の公式(x²+3x−1=0なら、かけて−1・たして3になる整数はない)
因数分解できる式は、解の公式で解いても同じ答えになります。x²−5x+6=0で比べてみましょう。
因数分解
(x−2)(x−3)=0
x−2=0またはx−3=0
x=2,x=3解の公式
a=1,
b=−5,
c=6x=
5±√25−242=
5±12x=3,x=2
ここでまちがえる!ミス4選
×まちがい
−2±2√76を
一部だけ約分して
−1±2√73
覚え方のコツ
公式は3つの部品に分けて覚えます。
①分母は2a(2×aのひとかたまり)
②分子の前半は−b(bと逆の符号)
③√の中はb²−4ac(bの2乗ひく4ac)
読み方の例:「マイナスビー、プラスマイナス、ルート、ビーの2乗ひく4エーシー、ぜんぶを2エーでわる」。声に出して、何回か書くと定着します。
練習問題8問(答えは折りたたみ)
ノートに解いてから、答えを開いて確かめましょう。答えが分数や√の形のものは、約分まで書けていれば正解です。
①x²+3x−1=0
答えを見る
x=−3±√132②x²−4x+1=0
答えを見る
x=2±√3③2x²+5x+1=0
答えを見る
x=−5±√174④3x²−x−2=0
答えを見る
x=1,x=−23⑤2x²−4x−3=0
答えを見る
x=2±√102⑥x²−6x+9=0
答えを見る
x=3⑦x²+x+1=0
答えを見る
解なし⑧x²+x=1(=0の形にしてから)
答えを見る
x=−1±√52
💡途中式まで確かめたいときは、
二次方程式の計算機を使います。式を入れるだけで、途中式つきで解きます。
解の公式が導かれるわけ(気になる人向け)
公式を使うだけなら、この部分は読まなくても大丈夫です。ただ、「なぜこの形になるのか」がわかると、忘れにくくなります。
ポイントは、平方の形に変形して解く方法を、そのまま文字のままやっているだけということです。文字の式だけだと難しいので、左に文字の式、右に数字の式(2x²+8x+3=0)を並べて、同じ手順をたどります。
文部科学省の中学校学習指導要領解説(数学編)でも、係数が数字の式を平方の形に変形する手順と対比させながら、解の公式が導かれる過程を知ることが重視されています。
おさらい:平方の形に変形する(x²+6x+2=0の例)
x²+6x=−2
xの係数6の半分は3、その2乗の9を両辺にたす
x²+6x+9=−2+9
(x+3)²=7
x+3=±√7
x=−3±√7
導出を見る(6つの手順)
手順1両辺をaで割る(x²の前を1にする)
数字の式(2x²+8x+3=0)
x²+4x+32=0
2x²+8x+3=0の両辺を2で割ります。x²の前を1にすると、平方の形にしやすくなります。
手順2定数項を右辺に移項する
数字の式(2x²+8x+3=0)
x²+4x=−32
数だけの項を右にうつすので、符号が逆になります。
手順3「xの係数の半分」の2乗を両辺にたす
文字の式
x²+bax+b²4a²=b²4a²−ca
数字の式(2x²+8x+3=0)
x²+4x+4=−32+4
xの係数4の半分は2、その2乗は4。これで左辺が(x+2)²の形になります。
手順4左辺を(x+□)²にして、右辺を整理する
数字の式(2x²+8x+3=0)
(x+2)²=52
右辺は通分してまとめます。数字の式では、−3/2+4=5/2です。
手順5平方根をとる(±をつける)
数字の式(2x²+8x+3=0)
x+2=±√52=±√102
2乗して右辺になる数は+と−の2つ。分母の√は、分子と分母に√2をかけて有理化します。
手順6xについて解く
数字の式(2x²+8x+3=0)
x=−2±√102=−4±√102
左辺の+2を右辺にうつして、通分してまとめると、解の公式のかたちになります。
最後の式が、解の公式そのものです。数字の式でも同じ形になっていることを、2x²+8x+3=0で確かめましょう。公式にa=2,b=8,c=3を入れると、−8±√404=−8±2√104=−4±√102で、手順6の答えと一致します。
解の公式の解説プリント(先生が配る用・5面)
左が1面(公式・5つの手順・例題)、右が答え面(練習6問の答えと先生への使い方)のサンプルです。PDFは2種類。「問題PDF」は1〜4面(公式・例題・使い分け・練習6問・公式が導かれるわけ)、「問題+答えPDF」は1〜4面に答え面をつけた5面です。答え面は赤で、考え方つきです。
解の公式のよくある質問
- 解の公式はいつ習いますか?
-
中学3年で習います。二次方程式の単元で、因数分解や平方の形に変形する方法のあとに学びます。
- 因数分解できる式でも解の公式は使えますか?
-
使えます。同じ答えになります。ただし計算が長くなりやすいので、因数分解できそうなら先にためすのがおすすめです。
- √の中がマイナスになったらどうしますか?
-
2乗してマイナスになる数はないので、実数の解はありません。「解なし」と答えます。
- 導出は覚えないといけませんか?
-
公式を使って解くだけなら、導出は覚えなくて大丈夫です。ただ、理由を知っておくと公式を忘れにくくなります。